戦間期⑤ アメリカの光と影
前回の記事で予告した通り、これから数回にわたって第一次世界大戦後の世界各国の様子を見ていきます。記念すべき(?)第一回目はアメリカです。
戦後、ヨーロッパに代わり世界の頂点にのし上がったアメリカの光と影、両方の側面を見ていきましょう!
その繁栄ぶりは「黄金の20年代」と呼ばれた
①アメリカの外交史(~1929年)
アメリカの外交史に関しては、これまでにも何度か説明してきたので、今回は解説ではなく(抜き打ちですが)確認テストをします!
全問正解を目指して頑張ってください!!!
☆次の文章の空欄(1)~(7)を埋めよ。
1910年代後半まで、アメリカは「他国とはお互いになるべく関わらない」という(1)という考え方のもとで外交を行ってきました。そのため、第一次世界大戦にも初めは参戦しない方針でした。
しかし、ドイツの潜水艦が民間の客船を撃沈する事件などが起きたことで、アメリカ国内では次第に参戦を求める声が高まりました。こうした声を受けて、1917年に当時のアメリカ大統領(2)は参戦を表明しました。また、(3)年には軍備縮小や秘密外交の禁止などを訴えた(4)を発表し、これはその後の国際社会の基本的なルールになりました。
大戦終結後もアメリカは国際社会で存在感を発揮し、1919年の(5)ではイギリス、フランスとともに会議をリードしました。この会議で(4)でも訴えていた「国際的平和組織の設立」は(6)という形で実現しましたが、依然としてヨーロッパと関わることに抵抗があったアメリカ議会の反対により、当のアメリカは不参加でした。
また、ハーディングは1921年に(7)を開催し、太平洋での勢力拡大を狙い、またその上でライバルだった日本をけん制しました。
では正解発表です。
(1)孤立主義(モンロー主義)(2)ウィルソン(3)1918(4)14カ条の平和原則(5)パリ講和会議(6)国際連盟(7)ワシントン会議
間違えてしまった人は今すぐ前の記事から確認してきてください!
②戦時中のアメリカ国内の様子
大戦中、アメリカ国内でも変化が起きました。
a.禁酒法の制定
読んで字のごとく「酒」の販売・流通を禁止した法律です。
「キリスト教の教えを忠実に守るべきだ!」
「酒を造るための穀物があるなら、それを戦場で命を張って戦ってるアメリカ軍の兵士に回すべきだ!」
などといった主張に後押しされて成立しました。
禁酒法を受けて酒を廃棄する人々
b.婦人参政権を求める声の高まり
このような運動は戦前からありましたが、第一次世界大戦によって出兵した男性の代わりに働くようになった女性が
「なんで私たちには参政権がないの!?」
と不満を持つようになったことで加速し、1920年の婦人参政権の実現という形で実を結びました。
③黄金の20年代
20世紀前半からアメリカでは工業化が急速に進みました。加えて、第一次世界大戦によってアメリカは他国へお金を貸す債権国となり、ヨーロッパへの輸出も伸びたので経済成長はいっそう加速し、「黄金の20年代」と呼ばれる繁栄の時を迎えました。
この時代のキーワードは、ずばり
大量消費・大量生産
です。考えてみれば当たり前ですよね。人々が裕福になればものを買う余裕がうまれるし、企業としてもたくさんものを売りたいのでたくさん作るようになります。
この好循環によってアメリカ経済は拡大していったのです。
ベルトコンベア方式で大量生産され、庶民に普及したフォードT型モデル
大衆文化も開花しました。ラジオ放送や映画、レコード、ジャズ…チャップリン(喜劇役者)やベイブルース(野球選手)が活躍したのもこの時代です。
「野球の神様」と呼ばれたベイブルース
「大衆」というところがキーポイントです。貴族ではなく一般庶民が中心の文化です。町人の文化だった元禄・化政文化と通じる所があるかもしれません。
④アメリカの影の側面
このように華々しく見える当時のアメリカ社会ですが、その裏には多くの不の側面がありました。
経済発展したアメリカには、その富を求めて世界中から多くの移民がやってきました。その中で、西欧系の移民と東欧系・アジア系の移民の間での対立、格差が深刻でした。その例として、1924年に制定された移民法が挙げられます。この法律によって日本からの移民は完全に禁止されました。
☆これを受けて、1924年以降はブラジルへの移民が増加しました
移民法の制定への抗議デモ
また、白人による黒人差別も存在しました。白人至上主義の秘密結社であるKKK(クー=クラックス=クラン)は黒人に対して暴力行為をはたらき、分離政策もアメリカ各地で当たり前のように行われていました。
このようにアメリカ社会では、民族・人種の違いによる格差や差別が根強く存在し、そしてその多くは今日まで続いています。
今回は以上となります!かなり長くなってしまいましたが、ここまで読んでいただきありがとうございました!また次回お会いしましょう!!